カタログの作り方。制作を成功させるために
デザインの進め方を考えましょう。
単一の画期的な製品の魅力を伝えるための独立型カタログ、圧倒的なラインアップ力や開発力を網羅的に訴求する総合カタログ、あるいは目に見える製品そのものだけでなく、それに付随して提供されるアフターサービスやソリューションまで包括して紹介する商品カタログなど、一口に「カタログ」と言ってもその形態は多岐にわたります。しかし、あらゆるカタログにおいて、最終的なゴールが「ターゲットに魅力や価値を正しく伝え、購買行動(あるいは問い合わせや見積もり依頼)という次のステップへ動かすこと」である点は共通しています。
その一方で、取り扱う商材の特性、業界固有の販売ルートや商習慣、さらには配布対象がBtoB(業者向け)かBtoC(一般消費者向け)かといった個々の条件によって、掲載すべき情報の優先順位や、ターゲットに最も響く有効な見せ方の選択肢は大きく異なります。たとえば、企業のアイデンティティや無形の価値・思想をじっくりとあぶり出して構築していく「会社案内」の作り方と比較すると、カタログは「訴求したい製品の価値や機能」がはじめから具体的な形として可視化されている場合がほとんどです。それゆえに、市場のトレンドや競合の動き、商機(ビジネスチャンス)を逃さないよう、スピード感を持って戦略的に制作を進めることが極めて重要になります。では、私たちが実際に成果の出るカタログを作り上げるプロセスにおいて、具体的にどのようなポイントに気を配り、デザインや構成を進めていけばよいのでしょうか。その思考のヒントを3つのステップで紐解いていきます。
THINK01
作るための前提条件を確認します。
何のカタログをどういう目的で
作るのか。

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売りたい商材は何?
例えば製品単体のカタログか、
製品を用いたサービスのカタログか。売りたいのは、形のある製品単体でしょうか。それとも、製品の導入によって提供される無形のサービスやソリューションも含めたパッケージでしょうか。一口に製品カタログと言っても、その目的や訴求内容は非常に幅広く、単に製品のスペックや価格を羅列してアピールすることだけが役割ではありません。顧客のエンゲージメントやロイヤリティを高めてリピート購入に繋げるためのものから、製品の正しい使い方やFAQを充実させることで自社のカスタマーサポート(問い合わせ対応)の業務省力化・コスト削減を目指すものまで多種多様です。まずは自社の「売り方」と、それを手にする「顧客の購買行動・利用シーン」を徹底的にシミュレーションし、そのカタログが最終的にどのような効果を生み出すべきなのか、明確なゴール(目的)を設定することが不可欠です。またカタログの利用者が消費者か販売代理店の方かによっても重要となる情報は異なります。
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製品カテゴリーの認知度は?
どこから説明することが有効か
どこまで知られている前提か。訴求したい製品やそのジャンルが、すでに市場で広く認知されているかどうかも重要な判断基準です。もし既存シリーズの最新版であれば、従来品と比べて「何がどう進化したのか」「どの機能がアップデートされたのか」という差分や新要素にスポットライトを当てて注目させることが有効です。一方で、その製品カテゴリー自体がまだ世の中に広く知られておらず、その製品カテゴリー自体がこれから市場を開拓していくような新しいものである場合は、そもそも「それがなぜ必要なのか」「どんな課題を解決できるのか」という根本的な有用性の解説から始める必要があります。紙のカタログはウェブと異なり、掲載できるスペースに物理的な限りがあります。だからこそ、情報を効果的に削ぎ落としながらも、読者に新たな気づきや発見を与える核心的な情報をしっかりと残し、次のアクションへとスムーズに誘導する構成の見極めが求められます。
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発信できる情報的資産は?
カタログ用に撮影は可能か。
保有している写真を活用するか。カタログ制作をいざスタートさせるにあたり、自社の中にどれだけの「手持ちの情報資産(原稿データやビジュアル素材)」が揃っているかを把握しておくことも重要です。数値データや仕様書、製品説明のテキストなどは社内で比較的用意しやすいのですが、誌面のクオリティを大きく左右する「写真(画像素材)」の準備は一筋縄ではいきません。たとえ潤沢な予算があり、プロのカメラマンによる新規撮影を行うコストの制約がなかったとしても、製品が完全受注生産(オーダーメイド)のために社内に現物の在庫がなく、撮影用のモデルを用意できないケースや、すでに納品済みの顧客先にある製品は機密保持やセキュリティの観点から掲載許可(撮影許可)が得られないといった特有の課題が生じます。こうした素材調達のハードルを初期段階で見定め、イラストの活用など、代替となるクリエイティブな解決方法を用意しておくことが、スムーズな進行の鍵となります。
THINK02
カタログの作り方で
大切なのは、
伝える人、見る人、決める人を
想定することです。

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カタログで有効な伝え方は?
「読んで納得」するデータ志向?
感性に訴え「見て分かる」もの?製品が持つ本来の強みをカタログという媒体で最大限に伝えるためには、その商材とターゲットに適したアプローチ方法を選択しなければなりません。例えば、優れたスペックや緻密な機能、それらを導入することで得られる具体的な経済効果(コスト削減率や生産性向上など)を、グラフや実験データを基にロジカルに解説し、「読んで納得させる」データ志向のアプローチは、理詰めの判断が求められるBtoB製品などで非常に高い説得力を発揮します。その一方で、製品の洗練されたフォルム、機能美を感じさせる細部のクローズアップ、あるいはそれが生活やビジネスの現場に溶け込んでいるシーンなど、優れたデザインの佇まいや独自の世界観を洗練されたビジュアルで表現し、「見て直感的に理解させる」ことで購買意欲を強く刺激する方法もあります。商材の性質に応じて、これら「理性へのアプローチ」と「感性へのアプローチ」のバランスをどうデザインに落とし込むかがポイントです。
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使い勝手良くデザインするには?
誰がどのように使うかを知り、
カタログの利用機会を増やす。カタログのデザインにおいて最も重要なのは、「誰が、誰に対して、どのようなシチュエーションで使用するカタログなのか」という利用シーンの解像度を上げることです。対象が一般の消費者(エンドユーザー)である場合は、カタログを見る人自身が直接的な購買決定者(意思決定者)となるため、個人の好みに響くビジュアルや分かりやすさが最優先されます。しかし、これが販売代理店や営業スタッフ(販社向け)が使うためのツールである場合は、「業者が自社の顧客に対して、製品の強みを迷わずスムーズに説明できる、営業ツールとして使い勝手の良い構成」が必須要件となります。営業担当者が商談の場で開きやすく、顧客からの質問に即座に答えられるようなインデックスや機能比較表などをデザインすることで、現場でのカタログの利用機会(手にとって開かれる回数)が劇的に増え、結果として自社製品をエンドユーザーに推薦してもらえるチャンスを最大化することに繋がります。
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動機付けとなる情報は何?
製品のポジションや
次のアクション方法を明確にする。自社が同じ製品カテゴリーの中に、スペックや用途違いの豊富なラインナップを有している場合、読者は「自分にとって本当に最適なモデルはどれなのか」という選択の迷いに直面しがちです。そのため、カタログ内には読者が安心してその製品を選ぶための「確証」や「動機付け」となる情報を適切に配置する必要があります。ラインナップのベース(標準仕様)となるエントリーモデルを基準に、各上位モデルにはどのような機能差や特長、メリットのステップアップがあるのかをマトリクス図などで明示し、読者に迷わせない選択の手がかりを与えることが大切です。さらに、製品に魅力を感じて「買いたい」「試したい」と思った読者が次に起こすべきアクション(購入ルート、見積もり依頼の方法、販売店の情報、納期や注文のプロセスなど)を親切かつ明確に記載しておくことで、離脱を防ぎ、確実な成約へと導きます。
THINK03
100ページを超える
カタログの作り方では
一点集中ではなく
常に全体像を意識しましょう。

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製品カテゴリーとラインナップ、
全体像の把握が初めの作業。
それがデザインと機能性の基となる。数十ページから100ページを超えるような大規模な総合カタログを制作する場合、個々の製品詳細ページのデザインに最初から一点集中して手をつけるのは非効率的であり、失敗の元になります。プロジェクトの極めて早い段階において、私たちがまず何よりも先に必要とする情報は、掲載予定となる製品カテゴリーの全体像と、各カテゴリーに紐づく製品ラインアップの全容(ボリューム感)です。この段階では、個々の製品の細かいスペックや詳細な原稿テキストは揃っていなくても問題ありません。全体の構造をまず俯瞰して把握することにより、カテゴリーごとの掲載ボリュームのバランスや、事前に想定していた総ページ数の妥当性を客観的に検証・確認することができます。この「全容の把握」があって初めて、カタログ全体に通底するデザインの汎用性(トーン&マニュアル)を持たせることができ、読者が目的のページへすぐにたどり着けるような検索性(インデックス機能や色分けルールなど)の高度な検討が可能になります。
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デザインサンプル制作により
掲載情報のフォーマットを確定し、
全ページの強弱をコントロールする。膨大なページ数を有する大冊のカタログを破綻なく、かつ魅力的に仕上げるために、まず基準となるいくつかのバリエーションの「デザインフォーマット(共通テンプレート)」を作成します。これによって、情報の配置ルールが統一され、全体の連続性を保ちながらも、章の切り替わりや重要製品の登場といった「紙面の区切り」を読者が視覚的にストレスなく理解できるよう配慮することができます。制作進行においては、目先の1ページに囚われることなく、一冊丸ごとを高い視点から俯瞰的に管理(コントロール)することが求められます。全編を通して同一のフォーマットだけでは退屈な印象を与えてしまいますが、逆にページごとにバラバラなデザインでは信頼感を損ねます。紙面全体に心地よい統一感を持たせつつ、ここぞという見せ場には大胆なレイアウト変更やビジュアルの強化といった「変化と強弱」を盛り込むことで、読者を飽きさせないインパクトと、情報の探しやすさがもたらす安心感を両立したハイクオリティなカタログが実現します。
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原稿、写真の出稿状況の管理から
カタログデザインの進捗まで。
制作スケジュールの管理が重要。大規模なカタログ制作において、成功の成否を分ける最大の要因の一つが、厳密かつ柔軟な「制作進行・スケジュールの管理」です。まずは全ページの構成と割り当てを視覚化した「台割り(だいわり)」を作成し、これをプロジェクトの羅針盤とします。その上で膨大な製品原稿の執筆状況、写真素材のポジ選定や撮り下ろしの入稿状況、そして実際のデザイン制作の進捗度合いを常にリアルタイムで並行して把握し管理し続けなければなりません。複数のページ制作が同時並行で進む中で、どのページから優先的に進めるべきか、ボトルネックになっている要因は何かといった優先順位の迅速な決定が、納期遅延を防ぐ防波堤となります。実際の制作現場では、締切時にすべての原稿が完璧に揃っていることは稀ですが、ナイスデザインでは、たとえ不完全なテキスト原稿や、まだ確定していない流動的な写真素材の段階であっても、プロの目で精査し、カタログとして最も有効に機能する材料をプロアクティブに選定・編集しながら、確実に完成へと並走いたします。